- 美人が焼き芋や干し芋をよく食べているのは、なぜ?
- いもにはどんな栄養があるの?
- 芋ってどうやって食べるのが正解?
そんな疑問を抱いたことはありませんか?
最近では、モデルや女優、インフルエンサーが焼き芋や干し芋を好んで食べている様子をSNSなどでよく見かけますよね。「なんでいま焼き芋なの?」と思った方も多いのではないでしょうか。
実は、焼き芋や干し芋は美容や健康にうれしい栄養がたっぷり含まれていて、ダイエット中の間食としても注目されているんです。
でも、「いも=太りそう」というイメージが先行して、避けてしまっている人も少なくありません。
そこで本記事では、管理栄養士の視点から「いも類の栄養と健康効果」「種類ごとの違い」「効果的な食べ方」についてわかりやすく解説します。

管理栄養士 まこ
- 30代の管理栄養士
- 急性期病院3年・給食委託会社8年
- 2つの病院とクリニックで栄養指導経験
- 1日平均4万食提供の委託給食の献立作成を担当
- 関西・関東の病院を中心とした給食提供実績
これまでいもをあまり食べてこなかった方も、ぜひ最後まで読んでみてください。
いもの栄養と健康効果|ダイエットや美容にもうれしい万能食材!

いもの主成分はでんぷん(炭水化物)で、主な成分は以下の通りです*1。
- でんぷん:15~27%
- 食物繊維:1~2%
- 水分:70~80%
たんぱく質や脂肪は少なめですが、カリウムやカルシウムなどの無機質を豊富に含む食品です。
中でも注目したい栄養素は以下の通り。
- 食物繊維
- ビタミンC
- カリウム
- でんぷん
食物繊維
いも類には、食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維は「第6の栄養素」とも呼ばれ、以下のようなさまざまな健康効果があります。
- 腸内環境を整える
- 血糖値の急上昇を防ぐ
- コレステロール値を下げる
食物繊維は大きく2種類に分けられます。
糖の吸収をゆるやかにするほか、コレステロールの排出を助ける働きがあります。
水溶性食物繊維:腸内でゲル状になり、腸を刺激して便通を促進し、老廃物の排出をサポートします。
不溶性食物繊維:いもには、これら両方の食物繊維が含まれていますが、特に不溶性食物繊維が多く含まれています。

便秘の予防や改善に効果的で、美容にも良い影響が期待できます。
ビタミンC
いもには、ビタミンCも豊富に含まれています。
ビタミンCは、体のさまざまな機能を支える重要なビタミンで、以下のような働きがあります。
- 抗酸化作用により、細胞の老化を防ぐ
- 免疫力を高め、風邪や感染症を予防する
- コラーゲンの生成を助け、肌や血管の健康を保つ
一般的にビタミンCは熱に弱いですが、いもに含まれるビタミンCは、でんぷんに包まれているため加熱しても壊れにくいという特徴があります。
例えば、ほうれん草を5分間ゆでるとビタミンCは約3分の1に減少しますが、じゃがいもでは約85%が残存します*1。
調理後でも効率よく摂取できるのがいもの大きなメリットです。



いもは他の食材と比べてビタミンCが効率よく摂れるので、美容に良いんですね。
カリウム
いもには、カリウムも豊富に含まれています。
カリウムは、体内の余分なナトリウム(塩分)を排出する働きがあり、高血圧の予防やむくみの改善に効果的なミネラルです。
現代の食生活では塩分摂取が多くなりがちなので、カリウムをしっかり摂ることが推奨されています。



カリウムをしっかり摂取するためにも、いもは取り入れたい食材です。
でんぷん
いもには、豊富なでんぷんが含まれています。
でんぷんは炭水化物の一種で、体にとって重要なエネルギー源です。
日本ではじゃがいもは副菜として扱われることが多いですが、一部の国では主食のように日常的に食べられており、エネルギー源として非常に優れた食品といえます。
中でもいも類は、他の炭水化物源に比べて腹持ちがよく、エネルギーが持続しやすいという特徴があります。



小腹が空いたときに、お菓子の代わりに焼き芋や干し芋を食べることは、エネルギーや食物繊維、ビタミンを効率よく摂取できる、とても健康的な選択です。
いもの種類別に栄養を比較!どれが一番おすすめ?


いもにはさまざまな種類があり、それぞれに含まれる栄養素や特長が異なります。ここでは、身近ないもについて、栄養価の違いを紹介します。
代表的ないもには、以下のような種類があります。
- さつまいも
- さといも
- じゃがいも
- ながいも
栄養価の違いは以下の通り。すべて「皮なし生」です。
100g当たり | さつまいも | さといも | じゃがいも | ながいも |
エネルギー(kcal) | 126 | 53 | 59 | 64 |
たんぱく質(g) | 1.0 | 1.2 | 1.3 | 1.5 |
脂質(g) | 0.1 | 0.1 | 微量 | 0.1 |
炭水化物(g) | 28.3 | 10.3 | 8.5 | 13.8 |
食物繊維(g)※ | 2.2 | 2.3 | 1.2 | 1.0 |
カリウム(mg) | 480 | 640 | 410 | 430 |
ビタミンC(mg) | 29 | 6 | 28 | 6 |
塩分(g) | 0 | 0 | 0 | 0 |
※食物繊維はプロスキー変法による値です。
- さつまいも:最もエネルギーが高く、炭水化物・食物繊維・ビタミンCが豊富。甘みがあり、腹持ちも良いのが特長です。
- 里芋:いもの中ではエネルギーが低く、食物繊維とカリウムが多いのが魅力。ぬめり成分にも整腸効果が期待されます。
- じゃがいも:ビタミンCが豊富で、加熱しても壊れにくいのが特長。クセが少なく料理に幅広く使えます。
- 長芋:栄養価は控えめながら、消化酵素(アミラーゼ)やぬめり成分(ムチンなど)を含み、胃腸にやさしいのが特長です。また、生で食べられる数少ないいも類です。
おすすめのいもを一つ選ぶとすれば、さつまいもが最もバランスに優れた存在です。栄養価はもちろん、満足感・調理のしやすさ・保存性といった面でも、とても優秀な食材です。



いもは、それぞれ異なる魅力や健康効果があるので、偏らずにいろいろな種類を取り入れましょう。
焼き芋・干し芋は手軽で栄養もしっかり
さつまいもは、いも類の中でも焼き芋や干し芋といった加工で間食として取り入れやすいのが大きな魅力です。
ここでは、それぞれの栄養価の違いについて解説します。
100g当たり | 生さつま芋 | 焼き芋 | 干し芋 |
エネルギー(kcal) | 126 | 151 | 277 |
たんぱく質(g) | 1.0 | 1.2 | 2.7 |
脂質(g) | 0.1 | 0.1 | 0.2 |
炭水化物(g) | 28.3 | 34.4 | 62.5 |
食物繊維(g)※ | 2.2 | 3.5 | 5.9 |
カリウム(mg) | 480 | 500 | 980 |
ビタミンC(mg) | 29 | 13 | 10 |
塩分(g) | 0 | 0 | 0 |
※食物繊維はプロスキー変法による値です。
焼き芋や干し芋にすることで水分が抜け、栄養素がギュッと凝縮されるため、食物繊維やカリウムを効率よく摂取できます。
特に干し芋はよく噛んで食べる必要があり、満腹感が得られやすいため間食におすすめです。



焼き芋や干し芋はそのまま食べられる手軽さがあり、日常的に取り入れやすい点が魅力です。
いも・でんぷんを原料とする加工食品の栄養


いも類を原料とした加工食品には、さまざまな種類があります。いもの主成分はでんぷんのため、ここでは、でんぷんを原料とする加工食品もあわせて、栄養面での特徴を解説します。
いも・でんぷんの加工品は以下のような種類があります。
- こんにゃく(原料:こんにゃくいも)
- 緑豆春雨(原料:緑豆でんぷん)
- 普通春雨(原料:じゃがいも・さつまいも などのいも類)
- くずきり(原料:でんぷん)
- タピオカ(原料:キャッサバいも)
栄養価は以下の通り。
100g当たり | こんにゃく 乾 | 緑豆春雨 | 普通春雨 乾 | くずきり 乾 | タピオカパール 乾 |
エネルギー(kcal) | 5 | 344 | 346 | 341 | 352 |
たんぱく質(g) | 0.1 | 0.2 | 0 | 0.2 | 0 |
脂質(g) | 微量 | 0.4 | 0.2 | 0.2 | 0.2 |
炭水化物(g) | 0.1 | 80.4 | 85.4 | 81.5 | 87.4 |
食物繊維(g)※ | 2.2 | 4.1 | 1.2 | 0.9 | 0.5 |
カリウム(mg) | 33 | 13 | 14 | 3 | 12 |
ビタミンC(mg) | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
塩分(g) | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
※食物繊維はプロスキー変法による値です。
こんにゃく:こんにゃくいもを原料とし、非常に低カロリー。食物繊維が豊富で、ダイエットや腸内環境の改善に役立ちます。
春雨:「緑豆」を原料としたものと、「じゃがいも・さつまいも」を原料とした普通春雨があります。どちらもエネルギー量が高めで、脂質やたんぱく質を抑えながら効率よくエネルギーを摂取したい方におすすめ。特に緑豆春雨は食物繊維が多く、栄養面でも優れています。
くずきり・タピオカパール:どちらも高エネルギー食品で、糖質を主成分としています。食物繊維は少なめですが、素早くエネルギーを補給したいときに適しています。



大ブームを巻き起こしたタピオカですが、その主成分はほとんど炭水化物です。
いもの1日の適量はどれくらい?【食べ過ぎ注意?】


いも類は、1日あたり50〜100g程度を目安にしましょう。
いもには食物繊維やビタミンCなどの栄養素が豊富ですが、主成分は炭水化物です。摂りすぎるとカロリーオーバーや血糖値の上昇につながる可能性があります。
管理栄養士が献立を作る際、芋類の摂取量を1日50g程度に設定することが多いです。例えば、2日に1回100gを食べる量でも問題ありません。この量を基準にすることで、食べ過ぎを防ぎやすくなります。



どんな食品でも過剰摂取は、体に良くない影響を及ぼすことがあるため、適量を守りましょう。
いもを効果的に食べる賢い食べ方|栄養を逃さない調理法


いも類の豊富な栄養をしっかりと摂るためには、調理法にひと工夫加えることが大切です。調理の際は、次のポイントに気をつけてみましょう。
皮ごと調理する
いものビタミンCや食物繊維は皮の近くに多く含まれています。皮ごと茹でたり、蒸したりすることで、栄養を逃しにくくなります。
蒸す・焼くがおすすめ
茹でると一部の栄養素(特に水溶性のビタミン)が流れ出てしまうため、蒸す・焼く調理法のほうが栄養を保持しやすいです。
加熱時間は短めに
ビタミンCは熱に弱いため、できるだけ加熱時間を短くするのがポイント。電子レンジ調理も効果的です。
冷まして食べるのも◎
いもを一度冷ますと、「レジスタントスターチ」という難消化性でんぷんが増え、血糖値の上昇を抑える効果や腸内環境の改善効果が期待できます。
まとめ:いもは栄養豊富!毎日の食事に上手に取り入れよう


この記事では、いもの栄養について解説しました。
要点をまとめると以下の通り。
- いもには食物繊維・ビタミン・ミネラルなどの栄養が豊富
- 便秘予防などの美容効果も期待できる
- 1つのいもに偏らず色んな種類の芋を取り入れよう
- 1日あたり50〜100g程度を目安に、適量を守って食べる
芋は美容にも役立つ栄養素が含まれているため、健康だけでなく美しさをサポートする食材としても注目されています。
おやつの代わりに焼き芋や干し芋を取り入れると、甘いものが欲しい時でも罪悪感なく栄養補給ができ、効率的です。



芋類を上手に活用し、健康的でバランスの良い食生活を目指しましょう。


参考文献(2025年5月28日参照)
*1:和田淑子・大越ひろ 編著. (2008). 健康・調理の科学〔第3版〕-おいしさから健康へー (第3刷). 株式会社建帛社.
栄養価は、すべて日本食品標準成分表2020年版(八訂)より引用しています。