- たんぱく質って何?
- たんぱく質ってどんな食べ物に多いの?
- たんぱく質の上手な摂り方を知りたい
こんな疑問をお持ちではありませんか?
たんぱく質は健康や美容に欠かせない栄養素としてよく聞きますよね。しかし具体的にどんな役割があるのか、どんな食材から摂れば良いのか、意外と知らない人も多いです。
たんぱく質には「良質なたんぱく質」と「そうでないもの」があります。ただ単にたんぱく質の量が多いだけではなく、質にもこだわらないと効率よく体に取り入れられません。
そこでこの記事では、管理栄養士の視点から、たんぱく質の基礎知識や多く含まれる食材、そして効果的な摂り方についてわかりやすく解説します。

管理栄養士 まこ
- 30代の管理栄養士
- 急性期病院3年・給食委託会社8年
- 2つの病院とクリニックで栄養指導経験
- 1日平均4万食提供の委託給食の献立作成を担当
- 関西・関東の病院を中心とした給食提供実績
たんぱく質について詳しく知りたい方は、ぜひ最後まで見てください。
たんぱく質とは、三大栄養素のひとつ

たんぱく質とは、私たちの体に重要な三大栄養素のひとつです。
筋肉や臓器などの体を構成し、酵素、ホルモン、免疫抗体などの成分にもなります。
たんぱく質は「アミノ酸」という小さな単位が連なってできています。アミノ酸には20種類あり、そのうち11種類は体内で合成することができますが、残りの9種類は体内で作ることができません。
この9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」といい、これらは必ず食事から摂取する必要があります。
必須アミノ酸は以下の通り。
- イソロイシン
- ロイシン
- リシン
- 含硫アミノ酸
- 芳香族アミノ酸
- トレオニン
- トリプトファン
- バリン
- ヒスチジン

たんぱく質は、私たちが生きるために日常的に必要な栄養素なのです。
たんぱく質の「質」はアミノ酸スコアによって決まる


たんぱく質には、「良質なもの」と「そうでないもの」があります。
良質なたんぱく質とは、私たちの体に効率よく利用される、栄養価の高いたんぱく質のことです。
その“質”を決めるのは、含まれるアミノ酸の種類とバランス。体内で合成できない「必須アミノ酸」をどれだけバランスよく含んでいるかが重要なポイントになります。
アミノ酸スコアが100に近いほど、体内で効率よく活用される“良質なたんぱく質”となります。良質なたんぱく質を摂ることで、筋肉や皮膚、ホルモンの材料として効率よく使われるようになります。



だからこそ、良質なたんぱく質を選ぶことが、健康的な体づくりに直結します。
食品ごとのアミノ酸スコア


人間の健康には、良質なたんぱく質が欠かせないことが分かりました。
では、どのような食品が「良質なたんぱく質」を含んでいるのでしょうか。
以下は、主な食品のアミノ酸スコアです。100に近いほど「良質なたんぱく質」です。
食品 | アミノ酸スコア |
精白米 | 65 |
大豆 | 100 |
卵 | 100 |
牛乳 | 100 |
プロセスチーズ | 91 |
ジャガイモ | 68 |
里イモ | 84 |
牛肉・豚肉・鶏肉 | 100 |
魚類 | 100 |
トマト | 48 |
みかん | 50 |
肉・魚・卵・大豆・牛乳はアミノ酸スコアが100で質の高いたんぱく質と言えます。
一方、穀類や野菜・果物などはアミノ酸スコアが100に届いていません。つまり、必須アミノ酸が十分でない食品と言えます。



ちなみに、必須アミノ酸が少ない食品でも、他の食材と組み合わせることで、不足を補い、たんぱく質の質を高めることができます。
たんぱく質を多く含む食品


たんぱく質は、いろいろな食品に含まれています。
特に多いのは肉や魚ですが、ここではジャンルごとに、たんぱく質が豊富な食品をピックアップしてご紹介します。
穀類でたんぱく質の多いもの
穀類でたんぱく質の多い食品は以下の通り。
100g当たり | たんぱく質(g) |
車ふ | 27.8 |
オートミール | 12.2 |
強力粉 | 11.0 |
全粒粉 | 10.8 |
そば 生 | 8.2 |
車ふは、穀類の中でもたんぱく質を特に多く含む食品です。あまりなじみのない方が多いかもしれませんが、実は沖縄では主菜として食べられることもあります。
芋でたんぱく質の多いもの
芋でたんぱく質の多い食品は以下の通り。
100g当たり | たんぱく質(g) |
いちょういも | 3.1 |
アメリカほどいも | 3.5 |
やつがしら | 2.5 |
いもは、比較的たんぱく質が少なく、じゃが芋は1.4g、さつまいもは0.8gのたんぱく質量です。
豆でたんぱく質の多いもの
豆でたんぱく質の多い食品は以下の通り。
100g当たり | たんぱく質(g) |
凍り豆腐 乾 | 49.7 |
きなこ | 34.3 |
大豆 乾 | 32.9 |
油揚げ | 23.0 |
そらまめ 乾 | 20.5 |
納豆 | 14.5 |
大豆は、たんぱく質の含有量が非常に多く、主菜として使われることもある食材です。大豆を原料とした加工品にも、たんぱく質が豊富に含まれています。
きなこなどは一度に大量には食べられませんが、ヨーグルトやご飯にふりかけると、手軽にたんぱく質を補うことができます。
納豆は乾燥状態ではないにもかかわらず、たんぱく質が100gあたり約14.5gも含まれており、非常に優れた食品です。
種実でたんぱく質の多いもの
種実でたんぱく質の多い食品は以下の通り。
100g当たり | たんぱく質(g) |
落花生 | 24.0 |
カシューナッツ | 19.3 |
ごま | 19.3 |
アーモンド | 18.7 |
ピスタチオ | 16.2 |
ナッツ類は、たんぱく質も多いですが、カロリーや脂質も多いので食べ過ぎには注意が必要です。
野菜でたんぱく質の多いもの
野菜でたんぱく質の多い食品は以下の通り。
100g当たり | たんぱく質(g) |
えだまめ | 10.3 |
たらのめ | 4.2 |
めきゃべつ | 3.9 |
ブロッコリー | 3.8 |
モロヘイヤ | 3.6 |
筋トレをしている人はブロッコリーを好んで食べていますよね。たんぱく質に加えて、ビタミンやミネラルも一緒に摂れるからです。
海藻でたんぱく質の多いもの
海藻でたんぱく質の多い食品は以下の通り。
100g当たり | たんぱく質(g) |
焼きのり | 32.0 |
かわのり | 29.7 |
いわのり | 26.8 |
あおのり | 21.4 |
あおさ | 16.9 |
海藻は乾燥している物も多いので、実はたんぱく質が多く含まれている食品もあります。
しかし、食べる量は少量になるので、たんぱく質の主な供給源にはなりにくいです。
魚介類でたんぱく質の多いもの
魚介類でたんぱく質の多い食品は以下の通り。
100g当たり | たんぱく質(g) |
くろまぐろ | 22.3 |
かつお 春 | 20.6 |
ごまさば | 19.9 |
しろさけ | 18.9 |
ぶり | 18.6 |
魚は、たんぱく質を多く含むうえ、その質も非常に優れています。積極的に取り入れたい食品のひとつです。
肉でたんぱく質の多いもの
肉でたんぱく質の多い食品は以下の通り。
100g当たり | たんぱく質(g) |
にほんしか赤肉 | 22.0 |
豚かた赤肉 | 20.9 |
輸入牛かた赤肉 | 20.4 |
ささみ | 19.7 |
鶏むね皮なし | 19.2 |
肉はたんぱく質が豊富で、質も非常に優れています。ただし、脂質も多く含まれているため、脂身の少ない赤身の部分を選ぶのがおすすめです。
卵でたんぱく質の多いもの
卵でたんぱく質の多い食品は以下の通り。
100g当たり | たんぱく質(g) |
ピータン | 13.7 |
うずらの卵 | 11.4 |
鶏卵 | 11.3 |
卵もアミノ酸スコアが100の質の良いたんぱく質です。卵白よりも卵黄の方がたんぱく質が多く含まれています。
乳類でたんぱく質の多いもの
穀類でたんぱく質の多い食品は以下の通り。
100g当たり | たんぱく質(g) |
脱脂粉乳 | 30.6 |
パルメザンチーズ | 41.1 |
プロセスチーズ | 21.6 |
牛乳 | 3.5 |
ヨーグルト無糖 | 3.3 |
脱脂粉乳やチーズは、水分が少ない分、たんぱく質が凝縮されており、非常に豊富です。
牛乳はアミノ酸スコアが100と優れており、手軽に飲めるのでおすすめです。
たんぱく質の1日の摂取目安量


たんぱく質の1日の摂取目安量は、日本人の食事摂取基準(2025年版)によると、
この量を摂っていれば、ほとんどの人が不足しないとされる基準です。
そのため1つの目安にはなりますが、実際には年齢、性別、体格、活動量などにより、必要量は個人差があります。
PFCバランスを使ったたんぱく質の目安
たんぱく質量の目安には、「エネルギー生産栄養素バランス(PFCバランス)」という考え方もあります。これは、1日に必要なエネルギー(カロリー)のうち、どのくらいをたんぱく質から摂るかを示す指標です。
日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人男女ともに
たとえば、1日の必要エネルギーが2000kcalの場合
① たんぱく質が占めるエネルギー量を計算
→ 2000kcal × 13~20% = 260~400kcal
② たんぱく質は1gあたり4kcalなので、グラムに換算
→ 260~400kcal ÷ 4kcal = 65~100g
体格や活動量によってもたんぱく質の必要量は異なります。
自分の総エネルギー摂取量に対する割合で考えると、より実情に合ったたんぱく質量が見えてきます。
たんぱく質60gの食事例
実際にどのくらいの食品でその量を摂れるのか、イメージしにくい方も多いと思います。
そこで、1日にたんぱく質60gを摂るための、具体的な食事例をわかりやすくご紹介します。
食品名・目安量 | たんぱく質(g) | |
朝 | 食パン(5枚切1枚) | 5.9 |
卵(1個) | 5.7 | |
ハム(1枚) | 1.6 | |
牛乳(200ml) | 6.0 | |
昼 | ご飯(150g) | 3.0 |
さば(80g) | 14.2 | |
夕 | ご飯(150g) | 3.0 |
鶏モモ(70g) | 11.9 | |
木綿豆腐(30g) | 2.0 | |
1日合計 | 53.3 |
今回の食事例では、簡略化するために副菜(野菜・いも類)などは含めていません。
副菜(1日350g以上)をプラスすると、大体7g程度のたんぱく質がプラスされます。
合計でたんぱく質60g程度になる計算です。



朝・昼・夕に、それぞれしっかりたんぱく質を摂取しないと中々たんぱく質60gには届かないかもしれません。
まとめ:たんぱく質を意識して健康的な食生活を


この記事では、たんぱく質の基礎知識や食材について解説しました。
要点をまとめると以下の通り。
- たんぱく質は、筋肉や臓器など体を構成する重要な栄養素
- アミノ酸スコアが100に近いほど、たんぱく質の“質”が高い
- アミノ酸スコアは、必須アミノ酸のバランスによって決まる
- たんぱく質の1日の摂取目安量は、男性65g・女性50g
- エネルギー全体に占めるたんぱく質の割合は13〜20%が理想(PFCバランス)
たんぱく質は私たちの体づくりに欠かせない栄養素であり、毎食しっかりと摂ることが大切です。
質と量の両方に意識を向けて、効率よくたんぱく質を取り入れていきましょう。



特に朝たんぱく質を摂ることは、快眠にも繋がるため重要です


栄養価はすべて、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年|文部科学省より引用しています。