- 夕食の時間がいつも遅くなってしまう…
- 寝る前に食べると太るって聞いたけど、本当なの?
- 気をつけたいけど、どうすればいいのか分からない…
そんなお悩みを抱えていませんか?
忙しい毎日の中で、どうしても夕食の時間が遅くなってしまうこと、ありますよね。仕事や家事で帰宅が遅くなり、「寝る直前に食べるのは良くない」と思いつつ、食事をとらざるを得ない方も多いのではないでしょうか。
実は、寝る前の食事にはいくつかのデメリットがあり、健康や体型に影響を与えることも。放っておくと、知らず知らずのうちに体重が増えていた…なんてことにも繋がりかねません。
そこでこの記事では、▼以下の2点について、わかりやすく解説していきます。
- 寝る前に食べることで起こるデメリット
- 寝る前にどうしても食べる場合の“OKな食事・NGな食事”

管理栄養士 まこ
- 30代の管理栄養士
- 急性期病院3年・給食委託会社8年
- 2つの病院とクリニックで栄養指導経験
- 1日平均4万食提供の委託給食の献立作成を担当
- 関西・関東の病院を中心とした給食提供実績
この記事を読めば、夕食が遅くなってしまっても、太りにくい食習慣を身につけるヒントが見つかります。
夕食が遅くなりがちな方、ついつい寝る前に何か口にしてしまうという方は、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
寝る前に食べるデメリット5つ

「寝る前に食べると太りやすい」と聞いたことがある人は多いと思いますが、その他にもデメリットがあります。
寝る前に食べることのデメリットは次の5つです。
- 太りやすくなる
- 生活リズムが乱れやすくなる
- 睡眠の質が下がる
- 胃もたれ・逆流性食道炎のリスク
- 血糖値が上昇しやすくなる
太りやすくなる
寝る前に食べることは、太りやすくなります。なぜなら、寝る前に摂取した食事のエネルギーが消費されず、脂肪として蓄積されやすくなるからです*1。
そのため太りたくない人は、寝る前の食事に注意が必要です。
生活リズムが乱れやすくなる
寝る前に食べることは、生活リズムが乱れやすくなります。寝る前に食べた影響で、朝起きた時にお腹がすかず、朝食を抜いてしまうことに繋がりやすいからです。
朝食をぬくと体内時計がリセットされなくなり、1日の生活リズムが崩れてしまいます*1。生活リズムが崩れると、日中の集中力低下や疲れやすさにもつながるため、注意が必要です。
こちらの記事で解説しています。
朝食の大切さは睡眠の質が下がる
寝る前に食べると、睡眠の質が下がる可能性があります。食事を摂ることによって、消化が必要になるからです。消化中は、脳が完全に休まらず、浅い眠りになりやすくなります。
また、食事を摂ると体温が上がることも睡眠の質を妨げることに繋がります。本来、私たちの体は眠りに入るときは体温が少しずつ下がることで眠気を感じます。
しかし消化により体温が上がると、このリズムが乱れ、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めやすくなることに繋がるのです。
胃もたれ・逆流性食道炎のリスク
寝る前の食事は、胃もたれや逆流性食道炎のリスクになります。食後すぐに横になると、胃の中の内容物や胃酸が逆流しやすくなり、胸やけや不快感を引き起こす可能性があるからです。
胸やけや不快感は、睡眠の質を下げることや翌朝の食欲不振にもつながりやすいです。
血糖値が上昇しやすくなる
寝る前に食べることは、血糖値の上昇にも関係しています。
健常者を対象に,朝食と昼食の時刻を揃えて,夕食のみを就寝4時間前と就寝30分前に摂取させた場合で比較すると,1日のエネルギー代謝が同一であった一方で,1日の平均血糖値や翌朝の朝食後血糖値が後者で有意に高値を示した。従って,糖尿病の予防や改善のためには,食物繊維の豊富な朝食を摂ることと,就寝直前の夕食の摂取を避けることが重要である。
つまり、夕食を摂るタイミングは、1日の平均血糖値や翌朝の朝食後の血糖値に影響するため、血糖コントロールにとても重要ということです。血糖値が高くなると糖尿病へのリスクも上がります。
血糖値が気になる方は、食べる時間帯に注意し、寝る前の食事はできるだけ控える必要があります。

寝る前に食べることはこれらのデメリットがあるため、就寝の3時間前までに済ましておくことが理想です。
消化物が胃内に停滞する時間は、大体1~3時間*3
- 炭水化物:約30~60分
- たんぱく質:約1~2時間
- 脂質:約2~3時間
どうしても食べたいときのポイント


「寝る前に食べるのはよくない」とわかっていても、仕事や生活の都合で夕食が遅くなってしまうこと、ありますよね。寝る前にお腹がすいて、どうしても何か食べたくなる…そんなときもあると思います。
そんな場合でも、ちょっとした工夫で体に負担をかけにくい食べ方ができます。
▼以下のポイントを意識してみましょう。
- 胃に易しいものを食べる
- よく噛んで食べる
- 夕食は2回に分けて食べる
胃に易しいものを食べる
寝る前は、胃腸に負担をかけにくい食べ物を選びましょう。胃に負担をかけにくいのは、消化しやすい食べ物や刺激になりにくい食べ物です。
- 消化しやすい
- 脂質が少ない
- 食物繊維が少ない
- 柔らかい
よく煮込み、柔らかくなった料理も消化に良いです。また、熱すぎるもの・冷たすぎるもの・辛いものも避けましょう。



具体的な食材や料理については、この後の章でご紹介します。
よく噛んで食べる
寝る前は、いつも以上によく噛んで食べることを意識しましょう。よく噛むことで、唾液が分泌され、唾液の中の消化酵素の力により胃の負担が軽くなります*4。
また、噛むことで満腹中枢が刺激されるため、少量でも満足しやすく、食べすぎ防止にも繋がります*5。寝る前の食べすぎは体への負担も大きいです。よく噛んで食べ、少量で満足できるようにしましょう。
よく噛んで食べるメリットは▼こちらの記事で解説しています。
よく噛むことで人生が変わる!早食いをやめられない人は必見
夕食は2回に分けて食べる
夕食の時間がどうしても遅くなってしまう人は、間食を取り入れ、夕食を2回に分けて食べることもおすすめです。例えば、以下のような食べ方です。
- 仕事の休憩時間や夕方に、おにぎりやバナナなど軽い主食をとっておく
- 帰宅後に主菜や副菜などを軽めに食べる
昼食から夕食までの時間が空きすぎると、空腹状態が長く続き、夕食後に血糖値が急上昇しやすくなります。夕食を分割することで、血糖値の急激な上昇を防ぎ、体への負担をやわらげることができます*6。



私が病院で栄養指導をしていた際も、夕食が遅くなりがちな糖尿病の患者さんには、この「分割食」をおすすめしていました。
寝る前に避けたい食べ物・飲み物


寝る前は、消化の良い・胃に優しい食べ物を選ぶのが理想です。脂質の多いものや、刺激になりやすいものは胃腸に負担をかけやすいので控えましょう。
たとえば、以下のような食べ物です。
- 主食:ラーメン・ピザ・菓子パン
- 主菜:揚げ物・炒め物・イカ・タコ・カレー
- 副菜:キムチ・ごぼう・キノコ・海藻・山菜
- 飲み物:アルコール・コーヒー
- その他:スナック菓子・アイスクリーム・ケーキ
熱すぎる/冷たすぎるもの・辛いもの
こういった食品は寝る前には控えるのが理想です。しかし「どうしても食べたい」という気持ちになることもありますよね。そんなときは、いつもの半分の量に抑えるなど、量を意識するだけでも体への負担は大きく変わります。
たとえば、コンビニでお弁当を買った場合、全部食べずに半分は翌朝にまわすのも良い方法です。
また、朝はたんぱく質や野菜が不足しがちなので、夜の残りを朝食として活用することで、栄養バランスも整いやすくなります。こうした“ちょっとした工夫”が、体にも優しい食習慣につながります。
野菜は寝る前の食事だからといって控える必要はありません。ただし、硬すぎるものを大量に食べると胃に負担がかかることがあるため、やわらかく調理するなど工夫して取り入れるようにしましょう。



アルコールは寝つきは良くなるように感じますが、眠りが浅くなりやすいので控えることをおすすめします。
寝る前にもOK!おすすめの軽食&食事


寝る前に食べる場合は、胃の滞留時間が短いものや負担をかけにくいものを選ぶことが望ましいです。
具体的な料理や食べ物は次の通りです。
- 主食:おかゆ・雑炊・焼き芋
- 主菜:サラダチキン・白身魚・ゆで卵・湯豆腐・納豆
- 副菜:蒸し野菜・野菜スープ・ポタージュ
- 飲み物:温かい牛乳・豆乳・ノンカフェインのハーブティー
- その他:ヨーグルト・バナナ
やわらかく煮る、裏ごしするなどの調理方法の工夫でも、より消化にやさしくなります。これらのものを上手に利用することで胃への負担を減らすことに繋がります。



とはいえ、食べる量を控えめにしたり、できるだけ寝る2~3時間前までに食事を済ませるようにしましょう。
まとめ:寝る前の食事と上手く付き合うために


この記事では、寝る前に食べることで起こるデメリット・OKな食事・NGな食事について解説しました。
要点をまとめると以下の通り。
- 寝る前に食べることにはデメリットが多い
- 夕食はできるだけ寝る2~3時間前に済ませる
- どうしても食べたいときはよく噛んで胃に易しいものを
- 帰宅が遅い場合は間食を釣り入れるのも有効
- 寝る前は脂質が多いものや刺激になりやすいものは避ける
寝る前に食べることは太りやすくなるだけではなく、睡眠や生活リズムの乱れにも繋がります。また、逆流性食道炎や血糖値上昇のリスクもあるので、できるだけ寝る前の食事は控えましょう。
食材や量を工夫することで負担を減らすことができるので、今回ご紹介した内容を参考にしてみてください。



体に優しい食生活を送りましょう。


参考文献(2025年4月21日参照)
- *1:夜遅く食事をとるときは|農林水産省
- *2:夜型食行動と生活習慣がもたらす朝食の欠食への影響|日本食生活学会誌VoL.11 No.4
- *3:渡邉早苗、松崎政三、寺本房子(編著).(2011).『改訂 臨床栄養管理』.株式会社 建帛社.
- *4:歯・口の健康|e-ヘルスネット|厚生労働省
- *5:噛(か)むことの大切さを見直そう ~野菜の効用と食べるタイミング~|農畜産業振興機構
- *6:食べ方と食べる時間が血糖変動に影響を与える|化学と生物 日本農芸化学会
- *7:第02回 「食べる時間」は体内時計が教えてくれる|産総研マガジン