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【管理栄養士が解説】副菜とは?バランスの良い食生活に欠かせない理由と選び方

  • 副菜って何のこと?
  • どういった栄養がとれるの?
  • 副菜の健康的な摂り方を知りたい

こういった疑問を抱えていませんか?

毎日の食事バランスを考えるうえで、欠かせない存在が「副菜」です。

栄養バランスのとれた食事とは、主食・主菜・副菜がそろっていることが基本。その中でも副菜は、ビタミン・ミネラル・食物繊維など、体の調子を整える栄養素の宝庫です。

とはいえ「副菜って具体的にどんな料理?」「どんな食材を選べばいいの?」「量はどれくらいが目安?」など、分からないことも多いですよね。

そこでこの記事では、管理栄養士の視点から、副菜の基本的な役割・栄養・効果的な摂り方までをわかりやすく解説します。

この記事を書いた人

管理栄養士 まこ

  • 30代の管理栄養士
  • 急性期病院3年・給食委託会社8年
  • 2つの病院とクリニックで栄養指導経験
  • 1日平均4万食提供の委託給食の献立作成を担当
  • 関西・関東の病院を中心とした給食提供実績

副菜を正しく理解すれば、毎日の食事がもっと健康的になります。

健康を意識している方、家族のために栄養バランスを考えたい方は、ぜひ最後まで読んでください。

目次

副菜とはビタミン・ミネラル・食物繊維の供給源

副菜とは、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの供給源になるおかずのことです。

主な材料は、野菜、いも、海藻、きのこです。

これらの食材は、私たちの健康維持に欠かせない栄養素が豊富です。

食物繊維

副菜を摂ると、食物繊維が摂取できます。

食物繊維は「第6の栄養素」とも呼ばれ、以下のようなさまざまな健康効果があります。

  • 腸内環境を整える
  • 血糖値の急上昇を防ぐ
  • コレステロール値を下げる

食物繊維は大きく2種類に分けられます。

水溶性食物繊維:腸内でゲル状になり、糖の吸収をゆるやかにする、コレステロールの排出を助ける働きがあります。

不溶性食物繊維腸を刺激して便通を促進し、老廃物の排出をサポートします。

副菜の食材には、これらの食物繊維が含まれています。

管理栄養士 まこ

水溶性と不溶性、偏ることなく摂取することが大切です。

ビタミン

副菜を摂ると、ビタミがを摂取できます。

ビタミンは、体の調子を整える栄養素です。代謝を助けたり、他の栄養素の吸収や働きをサポートします。

副菜から摂れるビタミンは、以下の通り。

  • ビタミンA:皮膚や粘膜の健康を保ち、視力の維持にも関与
  • ビタミンD:骨や歯の健康維持に必要
  • ビタミンB群:エネルギー代謝を助け、疲労回復にも関与
  • 葉酸:細胞の生成に関わり、特に妊娠期に重要
  • ビタミンC:抗酸化作用があり、免疫力の維持や鉄の吸収を助ける

ビタミンは、大きく分けて脂溶性水溶性の2種類があります。

脂溶性ビタミン(ADEK)は水に溶けにくく、体内に蓄積されやすいのが特徴です。

水溶性ビタミンは水に溶けやすく、体外へ排出されやすいため、体に貯めておくことができません。

水溶性ビタミンは貯蓄がないため毎日継続して摂取することが重要です。

管理栄養士 まこ

副菜はビタミンを摂るために欠かせません。

ミネラル

副菜を摂ると、ミネラルが摂取できます。

ミネラルは、体の機能を正常に保つために不可欠な栄養素です。骨や歯の形成、筋肉や神経の働き、体内の水分バランスの調整などに関わっています。

ビタミンと同様に体内でつくることができないため、毎日の食事から継続的に摂取することが大切です。

副菜から摂れるミネラルは、次の通り。

  • カルシウム:骨や歯の形成に不可欠。神経の伝達や筋肉の収縮にも関与
  • :赤血球をつくる材料となり、酸素の運搬に重要
  • カリウム:余分なナトリウム(塩分)の排出を助け、血圧の調整に役立つ
  • マグネシウム:エネルギー代謝や筋肉の機能をサポート
  • 亜鉛:免疫機能の維持や味覚の正常化、傷の治癒に関与

ミネラルは、過不足のバランスが重要な栄養素です。不足しても摂りすぎても良くありません。

管理栄養士 まこ

野菜・海藻・いも・きのこの副菜でミネラルを補いましょう。

副菜の食材と栄養の特徴

副菜の食材は、野菜、いも類、海藻、きのこ類などです。含まれる栄養はそれぞれ違いがあります

ここでは、各食材の特徴や栄養面での違いを解説します。

野菜の栄養

野菜は、抗酸化ビタミン、食物繊維、カリウム、カルシウムなどを豊富に含む食材です。健康を維持するうえで欠かせません。

なかでも、注目したい栄養素は以下の通り。

  • 食物繊維:腸内環境を整え、便通を促進
  • カリウム:塩分排出を助け、血圧を調整
  • ビタミンA(β-カロテン):皮膚や粘膜の健康や視力の維持に関与
  • ビタミンC:抗酸化・免疫サポート・鉄の吸収促進
  • 葉酸:細胞の生成に関わり、妊娠期に特に重要

野菜は「緑黄色野菜」と「淡色野菜」の2つに分類されます。

緑黄色野菜:色が濃く、カロテンを多く含む野菜。(例:ほうれん草、にんじん、かぼちゃ 等)

淡色野菜:緑黄色野菜に分類されない、比較的色の薄い野菜。(例:キャベツ、白菜、大根 等)

どちらの野菜にも異なる栄養的な役割があります。片方に偏らずバランスよく摂ることが大切です。

管理栄養士 まこ

目安として、1日の野菜のうち約1/3は緑黄色野菜から摂ることを意識しましょう。

もっと詳しくはこちら【野菜の栄養を徹底解説

いもの栄養

いも類は、でんぷん(炭水化物)を主成分とし、食物繊維やミネラルも豊富に含んでいます。

中でも注目したい栄養素は以下の通り。

  • 食物繊維:腸内環境を整え、便通を促進
  • ビタミンC:抗酸化・免疫サポート・鉄の吸収促進
  • カリウム:塩分排出を助け、血圧を調整
  • でんぷん:重要なエネルギー源

特にいも類に含まれるビタミンCは、でんぷんに包まれているため加熱による損失が少ないという特徴があります。

管理栄養士 まこ

「野菜は苦手でもいもなら食べられる」という人も多いですよね。

もっと詳しくはこちら【いもの栄養を徹底解説】

海藻の栄養

海藻は、食物繊維、ミネラル、ビタミン類を豊富に含む食材です。

中でも注目したい栄養素は以下の通り。

  • 食物繊維:腸内環境を整え、便通を促進
  • カリウム:塩分排出を助け、血圧を調整
  • カルシウム:骨や歯の形成や神経の伝達などに関与
  • :赤血球をつくる材料、酸素の運搬
  • ヨウ素:甲状腺ホルモンの材料

海藻には、海藻特有の水溶性食物繊維のフコイダンアルギン酸が含まれています。近年その健康効果が注目されています。

フコイダン:免疫調整作用・抗がん作用などにも期待

アルギン酸:コレステロールの吸収抑制・血糖値上昇を緩やかに

管理栄養士 まこ

海藻には海藻からしか取れない成分が含まれています。

もっと詳しくはこちら【海藻の栄養を徹底解説】

きのこの栄養

きのこは食物繊維やビタミン類、香り成分、うま味成分など、うれしい成分が含まれている食材です。

中でも注目したい栄養素は以下の通り。

  • 食物繊維:腸内環境を整え、便通を促進
  • ビタミンD:骨や歯の健康維持に必要
  • ビタミンB群:エネルギー代謝や疲労回復にも関与
  • カリウム:塩分排出を助け、血圧を調整

きのこの水溶性食物繊維には「β-グルカン」があります。β-グルカンは、免疫力の向上や抗がん作用などが期待されています。

また、きのこは植物性食品の中でビタミンDを含む貴重な存在です。

もっと詳しくはこちら【きのこの栄養を徹底解説】

管理栄養士 まこ

食べ物にはそれぞれ違った栄養があります。特定の食材に偏らず、いろいろなものを組み合わせましょう

副菜の適切な摂取量

副菜は、さまざまな食材を偏らずに取り入れることが大切。

とはいえ、「実際にはどれくらい食べればいいの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

農林水産省の食事バランスガイドでは、副菜は350~490g(5~7SV)に設定されています。

ここでは、副菜の摂取量について、食材ごとに解説します。

  • 野菜は1日350g(緑黄色野菜120g)
  • いもは1日50g程度
  • 海藻は1日3g程度
  • きのこは1日20~30g程度

野菜は1日350g(緑黄色野菜120g)

厚生労働省が推進する健康日本21(第三次)では、1日あたり350gの野菜摂取が目標とされています。そのうち、緑黄色野菜は120g以上です。

日本人の平均摂取量は約256gで、目標より約100g不足しているのが現状です*1

目安として、1日350gの野菜を摂るには1日5皿程度の副菜が必要とされています。

以下のような工夫で野菜摂取を心がけましょう。

  • 加熱してかさを少なくする
  • メイン料理に野菜をたくさん入れる
  • 茹でるよりも蒸す・炒める
  • 旬の野菜を選ぶ
  • 冷凍野菜も活用する
管理栄養士 まこ

私たち管理栄養士は、食事指導のとき「生なら両手一杯、加熱なら片手1杯を目安に摂りましょう(1食分)」とお伝えすることが多いです。

いもは1日50g程度

いも類は、1日あたり50〜100g程度を目安にしましょう。

いもの主成分は炭水化物です。摂りすぎるとカロリーの過剰や血糖値の上昇につながる可能性があります。

この量を基準にすると、食べ過ぎを防ぎやすくなります。

以下のような工夫でいもを取り入れましょう。

  • 皮ごと調理で栄養を逃がさない
  • 蒸す・焼くで栄養を保持
  • 加熱時間を短くしビタミンCを残す
  • 冷まして食べると血糖値上昇抑制、腸内環境の改善
管理栄養士 まこ

焼き芋や干し芋をおやつ代わりに食べるのは健康的でおすすめ!

海藻は1日3g程度

海藻は、1日あたり乾燥1〜3g程度が目安です。これは1週間で約10〜20gに相当します。

中でも昆布ヨウ素を多く含むため、摂りすぎには注意が必要。毎日多量には食べず、適量を守るようにしましょう。

海藻には、青のり、海苔、昆布、わかめ、ひじき、もずく、めかぶなどの種類があります。いろいろな海藻を取り入れましょう。

▼海藻を手軽に取り入れるアイデア

  • ご飯に混ぜて風味アップ
  • 納豆+めかぶのねばねばコンビ
  • 麺類にトッピング
  • 味噌汁に加えて栄養プラス
管理栄養士 まこ

海藻を上手に取り入れて、栄養を高めましょう。

きのこは1日20~30g程度

きのこは1日20~30gを目安にしましょう。ほんの少し意識するだけで、毎日無理なく取り入れられる量です。

きのこには「生」と「干し」の2種類があります。干しきのこは、日光で乾燥させることでビタミンDの含有量が大幅にアップしています。

中でもキクラゲは、ビタミンDが豊富です。

干しきのこは保存性が高く、常備しておくと便利です。

管理栄養士 まこ

料理によって「生」と「干し」をうまく使い分けましょう。

副菜を上手にとる6つのポイント

副菜の必要量は、おそらく思っているよりも多いです。

野菜は1日350g」とよく聞くと思いますが、この350gには「いも類・きのこ・海藻」は含まれません。

野菜350gに加えて、いも・きのこ・海藻を別途摂取する必要があります。

きちんと摂ろうとすると、実はかなりの量になります。ですが、しっかり副菜を食べれば、満腹感が得られるうえにカロリーは控えめ。ビタミンやミネラル、食物繊維も十分に摂れるので、とても健康的な食事になります。

管理栄養士 まこ

私が病院食の献立を立てていたときも、野菜350gとは別に、いも・海藻・きのこをプラスで献立に組み込んでいました。

そこで、副菜を上手にとる6つのポイントを紹介します。

  • 調理法の工夫で食べやすく
  • メイン料理を具だくさんにする
  • 旬の食材を積極的に使う
  • 冷凍も上手に使う 
  • 乾物をうまく取り入れる
  • 食材の種類を増やす

調理法の工夫で食べやすく

副菜をしっかり摂るためには、調理によって“かさ”を減らすことがポイントです。

例えば、生野菜は一度に食べられる量に限りがあります。食材によって、加熱で量が半分ほどに減ることもあります。

調理法を工夫して、より手軽にたくさんの副菜を取り入れましょう。

メイン料理を具だくさんにする

副菜の量をしっかり確保するためには、メイン料理に副菜を入れるのがおすすめです。

たとえば、肉や魚の炒め物に野菜を加えたり、煮込み料理にさまざまな具材を一緒に入れたり。

主菜と一緒に調理すれば、調理の手間も省けて一石二鳥。野菜が苦手な人も食べやすくなります。

管理栄養士 まこ

具体的には、筑前煮、八宝菜、野菜炒め、酢豚、回鍋肉、青椒肉絲、など。

旬の食材を積極的に使う

副菜を上手に摂るには、旬の食材を積極的に活用するのがポイントです。

旬の食材は栄養価が高く、うま味も豊富。さらに、比較的手ごろな価格で手に入りやすいというメリットもあります。

季節で食材が変わるため、いろいろな種類を取り入れられます。食生活の偏りも防げます

管理栄養士 まこ

季節の移ろいを感じながら、旬の味を楽しみましょう。

乾物をうまく活用する

副菜をしっかり摂るには、乾物を上手に取り入れるのもおすすめです。

乾物は保存性が高く、常備しやすいため、忙しくて買い物に行けない時でも手軽に使えます。ひじきや切り干し大根などは、食物繊維や栄養が豊富で、副菜にぴったり。

乾物を活用して、野菜不足を補いましょう。

食材の種類を増やす

副菜を上手に摂るためには、さまざまな食材を取り入れることを意識しましょう。

以前は「1日30品目を摂りましょう」と言われていました。最近では数にこだわらず、多様な食材を取り入れることの大切さが重視されています。

いろいろな食材を使うと、多くの栄養を摂りやすくなります。

管理栄養士 まこ

種類を増やすことで、自然と副菜の量も増えていきます。

【実例】管理栄養士が考えるの1週間の献立

実際に、1週間分の献立をご紹介します。この献立は、実際に病院食で提供していたものを少し修正したものです。

朝食昼食夕食
・ご飯
・沢煮椀風
・きのこサラダ
・牛乳
・味噌汁
・ご飯
・和風ハンバーグ
・南瓜煮
・きゅうりの酢の物
・ゼリー
・ご飯
・揚げだし豆腐
・ピーマンのみそ炒め
・とろろ芋
・ご飯
・鶏と白菜のくたくた煮
・インゲンのソテー
・牛乳
・味噌汁
・ご飯
・鮭の味噌仕立て
・小松菜のお浸し
・じゃが芋煮
・フルーツ
・ご飯
・牛肉の胡麻炒め
・茄子の土佐煮
・もずく酢
・ご飯
・おからのキッシュ
・大根の炒め物
・牛乳
・味噌汁
・ご飯
・豚肉の梅風味ソテー
・ほうれん草のなめ茸和え
・サツマイモと小豆の煮物
・ゼリー
・ご飯
・あじの中華風焼き
・小松菜の和え物
・まめサラダ
・ご飯
・山菜きんちゃく煮
・マカロニサラダ
・牛乳
・味噌汁
・菜飯
・魚のディアブル風
・ピーナッツ和え
・もやしとワカメの柚子香和え
・フルーツ
・ご飯
・イカのキムチ炒め
・ひじきの煮物
・ピーマン金平
・ご飯
・中国風入り豆腐
・ビーフン煮
・牛乳
・味噌汁
・ご飯
・和風クリームシチュー
・サラダ
・漬物
・マンゴープリン
・ご飯
・鶏肉の五目煮
・小松菜のソテー
・蓮根のおかか煮
・ご飯
・オムレツ
・海藻サラダ
・牛乳
・味噌汁
・ご飯
・塩肉じゃが
・揚げナスの味噌かけ
・酢ごぼう
・フルーツ
・ご飯
・さわらの菜種焼き
・こんにゃく煮
・ほうれん草のわさび和え
・ご飯
・ししゃも
・大根金平
・牛乳
・味噌汁
・ご飯
・鶏肉の南蛮漬け
・筍とふきの煮物
・オクラのお浸し
・ゼリー
・ご飯
・えびつみれと野菜の煮物
・山菜煮
・キャベツの豆板醤炒め
管理栄養士 まこ

食材の偏りがないようにできています。ぜひ参考にしてください。

まとめ:副菜を上手にとってバランスの良い食事を心がけよう

この記事では、副菜の基本的な役割・栄養について解説しました。

要点をまとめると以下の通り。

  • 副菜は食物繊維・ビタミン・ミネラルの大切な供給源
  • 主な食材は、野菜・いも類・海藻・きのこ類
  • 1日の目安量:野菜350g、いも類50g、海藻3g、きのこ20〜30g
  • さまざまな食材を組み合わせて、偏りなく取り入れることが大切

バランスの良い食事とは、主食・主菜・副菜がそろった食事のこと。

中でも、副菜は不足しやすいため、1日5皿以上を目標に摂るようにしましょう。

副菜をしっかり取り入れることで、健康や美容にも良い影響が期待できます。

管理栄養士 まこ

ぜひ今日から、副菜の「質」と「量」を高めましょう。

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参考文献(2025年5月30日参照)

*1:令和5年国民健康・栄養調査|厚生労働省

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この記事を書いた人

✔ 急性期病院 3年勤務
✔ 給食委託会社 8年勤務

巷で広がる食に関する情報を、管理栄養士の視点から解説します。

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