- 痩せたいけど、できれば我慢はしたくない…
- 頑張ってるのに、なかなか体重が落ちない
- リバウンドせずに痩せる方法を知りたい
こんな悩みを抱えていませんか?
ダイエットを始めると、まず「食事を減らす」「糖質をカットする」など、“何を食べるか”ばかりに目が行きがちです。でも実は、それと同じくらい大切なのが「どう食べるか」という“食べ方”です。
せっかく頑張って食事制限をしていても、食べ方が間違っていれば、代謝が落ちたり、脂肪をためこみやすくなったり…。効率よく痩せられず、ストレスだけが溜まってしまうこともあります。
そこでこの記事では、管理栄養士の視点から、効率的に痩せるための4つの「食べ方の習慣」を解説します。

管理栄養士 まこ
- 30代の管理栄養士
- 急性期病院3年・給食委託会社8年
- 2つの病院とクリニックで栄養指導経験
- 1日平均4万食提供の委託給食の献立作成を担当
- 関西・関東の病院を中心とした給食提供実績
食べることを楽しみながら、無理なくダイエットを成功させたい人は、ぜひ最後まで読んでみてください!
絶対取り入れたい痩せる食べ方4つ

痩せたいと思ったら、まずは「痩せやすい体」をつくるための食べ方を意識することが大切です。無理なダイエットで一時的に体重が減っても、体に負担がかかり、健康を損なう可能性があります。
▼以下は、健康的に痩せるために欠かせない基本の食べ方です。
- 1日3食しっかり食べる
- 決まった時間に食べる
- 食べる順番を意識する
- よく噛んでゆっくり食べる

どれも普通のことですが、できていない人は意外と多いです。
1日3食しっかり食べる
「1日3食しっかり食べる」ことは、実は痩せるためにとても重要なポイントです。
というのも、食事の回数を減らしてしまうと、かえって太りやすくなってしまうことがわかっているからです*1。1日の摂取エネルギー量が同じでも、食事の回数が少ないほど、体脂肪が蓄積しやすくなります。
特に朝食を抜くことは、体内時計のリズムを乱し、結果的に体重増加と筋力低下に繋がるリスクがあることが明らかになっています*2。
朝食を抜くと体重が増えるのに筋肉量は減ることを、名古屋大学の研究グループがマウスを使った実験で明らかにした。習慣的に食べない「朝食欠食」により肝臓の代謝などに関わる「体内時計」に異常が生じるためだという。
筋力が低下してしまうと、基礎代謝が落ちてしまい、痩せにくい体になってしまいます。
もし「1食抜けばその分カロリーが減って痩せられる」と思っているとしたら、それは大きな誤解です。むしろ、痩せたいのに“太りやすい習慣”を自分で選んでしまっていることになります。



痩せやすい体を目指すなら、まずは1日3食、バランスよくしっかり食べることから始めましょう。
詳しくはこちら痩せたいなら朝ごはんは抜いてはいけない!
決まった時間に食べる
食事は、できるだけ毎日決まった時間に、規則正しく摂ることが理想です。私たちの体には体内時計があり、食事のタイミングは代謝の働きに影響を与えるからです。
実際に、次のような研究結果があります。
マウスに高脂肪食を4ヶ月間与えた実験によると、いつでも好きな時刻に食べられるように与えた群と、活動期の8時間のみに制限して与えた群では、1日当りの摂取総量は同じでも、前者は典型的なメタボ(肥満)になり、後者はほとんどメタボにならなかった(体重、血液検査の値ともにほぼ正常)ことが報告されています。
このように、同じ食事量でも食べる時間によって、太りやすくなる可能性があります。食事時間はできるだけ固定し、規則正しい食生活を意識することが重要です。
理想的な1日3食の時間帯
1日3食の理想的な食事時間は以下の通りです。
- 朝食:6時~8時ごろ
- 昼食:11時~13時ごろ
- 夕食:18時~20時ごろ
ライフスタイルによっては、この時間帯に食事をとるのが難しい場合もあるかと思いますが、できる範囲でこの時間内に食事をとることを心がけてみましょう。



私が以前、病院で管理栄養士として働いていた際も、患者さんの食事時間は朝8時、昼12時、夕18時と、一定の時間に設定されていました。
間食の時間は午後3時がおすすめ
間食のタイミングについても、”食べたいとき”ではなく、午後3時ごろにとるのがおすすめです。午後3時は代謝の関係で、脂肪がつきにくい時間帯とされているため、間食にはぴったりのタイミング*3。
さらに、食事と食事の間隔は4〜6時間あけるのが理想的とされています。そのため、午後3時に軽い間食を取り入れることで、次の食事までのエネルギー補給にもなり、体に負担をかけずに過ごすことができます。



「3時のおやつ」はとても理にかなっているのです。
食べる順番を意識する
「食べる順番」を意識することも、痩せやすい食べ方として効果的です。「野菜から食べたほうがいい」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
これは、「野菜 → たんぱく質 → 炭水化物」の順番で食べる方法で、ベジファーストとも呼ばれています。
なぜ順番を意識すると良いのかというと、最初に野菜を食べることで満腹感が得られやすくなり、その後の肉やご飯の食べ過ぎを防ぐことができるからです。特に肉やご飯はカロリーが高いため、摂取量が減るだけでも自然とダイエット効果が期待できます。
空腹の状態だと、おいしいものを少しの量で我慢するのはなかなか難しいもの。でも、ある程度お腹が満たされていれば、少量でも満足しやすくなりますよね。
また、野菜を先に食べることで血糖値の上昇が緩やかになり、インスリンの分泌が抑えられることも太りにくくなることに繋がるとされています*4。インスリンは糖を脂肪として蓄える働きがあるからです。
このように、食べる順番を意識するだけで、無理なく続けられる痩せやすい食習慣に繋がります。
詳しくはこちら野菜から食べる本当の効果
よく噛んでゆっくり食べる
「よく噛んで、ゆっくり食べること」も、痩せるために欠かせない食べ方です。
よく噛むことにはさまざまなメリットがありますが、その1つにあるのが肥満の防止効果です。しっかり噛むと満腹感を得やすくなるため、食べ過ぎを防ぐことができます。
さらに、早食いに比べてよく噛んで食べるほうがエネルギー消費量が高いという研究結果もあります*5。
食後90分間の体重1キロ当たりの平均エネルギー消費量(安静時の値との差)は、早食いの時が7カロリーだったのに対して、食品がなくなるまでよくかんで食べた時には180カロリーだった。この違いは食後5分ですぐ現れ、食後90分まで続いた。ゆっくり食べる方が体のエネルギー消費は驚くほど増えていた。
また、噛むことは顔の筋肉が鍛えられ、フェイスラインの引き締め効果も期待できます。
効果をより実感しやすくするためには、ひとくち30回を目安に噛むことを意識してみましょう。
詳しくはこちらよく噛んで食べる効果



噛むことは誰でもすぐに取り入れることができます。ぜひ今日から始めましょう!
ダイエット中にやってはいけない食べ方3選


逆に、ダイエット中にやってはいけない食べ方は次の3つです。
- 朝ごはんを抜く
- 寝る前に食べる
- 早食い
これらの習慣があると、痩せたいと思っているのに、かえって痩せにくい食生活になってしまう可能性があります。
朝ごはんを抜くのは✖
痩せたい人にとって、朝食を抜くのは逆効果とされています。
その理由のひとつが「食事誘発性熱産生(DIT)」で、食べたものを消化・吸収する際に体が消費するエネルギーのことです。DITが高いほどエネルギー消費が促進され、太りにくくなります。
DITは一般的に、夕方や夜よりも午前中の方が高くなる傾向があるため、朝食をしっかりとることで代謝が活発になり、痩せやすい体づくりにつながるのです。
逆に朝食を抜くと、このエネルギー消費が起こらず、体温も上がりにくくなるため、太りやすくなる可能性があります*1。
寝る前に食べるのは✖
痩せたい人にとって、寝る前の食事は避けたい習慣のひとつです。就寝前に摂った食事のエネルギーは消費されにくく、そのまま脂肪として蓄積されやすいため、太りやすくなってしまいます*6。
さらに、寝る直前の食事は胃もたれを引き起こしやすく、翌朝の食欲不振や朝食の欠食につながる可能性もあります。朝食をしっかり食べるためにも寝る前の食事は控えておきましょう。



就寝の少なくとも3時間前までに食事を終えるのが望ましいです。
早食いは✖
早食いも太りやすくなることから、ダイエットしたい人は避けた方が良い食べ方です。近年の疫学調査により、早食いが肥満と密接な関連を持っていることが明らかになっています。
35~69歳の成人を対象とした疫学調査の結果で、食べる速さと肥満度の関連をみたところ、速食いの人は現在のBMIが高い傾向にあること、さらには20歳時点からのBMI増加量も高いことがわかりました。これらの傾向は他の要因(摂取エネルギー量・年齢・喫煙・身体活動・飲酒習慣)を調整しても統計的に意味のある差であることが認められています。
食べるスピードが早いと、満腹感が脳に伝わる前に食べ過ぎてしまい、結果として過剰なエネルギー摂取につながりやすくなります。
まわりと比べていつも先に食べ終わってしまう人や、自分が早食いだと感じている人は、ゆっくりよく噛んで食べることを意識するだけでも、ダイエットに良い影響を与えます。



早食いは意識的に取り組まないとなかなか改善できません。
ダイエットの前にバランスの良い食事が基本


食べ方の工夫は、痩せやすい習慣を身につけるうえでとても大切ですが、それだけで劇的に体重が減ることは実はあまり多くありません。本気で体重を減らしたい場合は、やはり今よりも摂取カロリーを減らすことが重要になります。
カロリーを減らすとなると、「とにかく食事量を減らさなきゃ」と思いがちですが、まずはバランスの取れた食事を意識することから始めてみませんか?
無理なく続けられる食習慣が、結果的にダイエット成功への近道になります。
実際、食事のバランスを整えるだけで自然と摂取カロリーが減り、無理なく体重が落ちる人も少なくありません。日本人は国の調査でも野菜不足が指摘されており*7、多くの人が本来野菜で補うべき部分を、脂質や炭水化物などカロリーの高い食品で補っているのが現状です。
つまり、まずは野菜をしっかり取り入れたバランスの良い食事を心がけるだけでも、無理な制限をせずに減量につなげることができるのです。
バランスの良い食事とは主食・主菜・副菜がそろった食事
バランスの良い食事とは、主食・主菜・副菜がそろった食事のことです。
詳しくはこちら【主食とは】【主菜とは】【副菜とは】
それぞれの具体的な食べ物と目安量は▼以下の通り。
バランスの良い食事 | 具体的な食べ物 | 1食の目安の量※ |
主食とは | ごはん・パン・麺 | ご飯150~200g(お茶碗1杯) |
主菜とは | 肉類・魚類・卵類・大豆製品 | 60~75g |
副菜とは | 野菜・いも・海藻・きのこ | 120~150g |
※20~40代女性で算出しています*8。
実は、必要な量をきちんと取れていない人も多いものです。目安の食事量は、野菜類の量がしっかりあるため、思っている以上にボリュームがあり、満足感も得られます。
この適切な食事量を確保できれば、「我慢ばかりのつらいダイエット」をしなくても、あとは間食を適量にするだけで、自然と減量につながる可能性があります。
まとめ:食べ方を見直し、痩せやすい習慣を!


この記事では、効率よく痩せるための「4つの食べ方の習慣」について解説しました。
要点は以下の通りです。
- 1日3食をしっかり食べる
- 毎日決まった時間に食べる
- 食べる順番を意識する
- よく噛んで、ゆっくり食べる
これらは、ダイエット以前に大切な“食事の基本”。この土台ができていないと、どれだけ努力しても非効率なダイエットになってしまう可能性があります。
また、ダイエットは「食事量を減らすこと」から始めるのではなく、まずはバランスの良い食事を意識することが大切です。野菜をしっかり取り入れることで、自然とカロリー摂取が抑えられる場合も多く、無理なく減量につながります。



正しい食事習慣を身につけて、健康的なダイエットを目指していきましょう。