- 一日一食ダイエットをやろうと思っているんだけど……
- 食事回数を1回にすることは体に良いの?悪いの?
- 一日一食に関する専門家の意見が聞きたい。
こういった悩みを抱えていませんか?
できるだけ短期間で痩せたいと思っている方にとって、一日一食ダイエットは魅力的なダイエット法に感じるかもしれません。しかし、効果や体への影響も気になるという方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、一日一食ダイエットの効果と体への影響について管理栄養士の私が解説します。

管理栄養士 まこ
- 30代の管理栄養士
- 急性期病院3年・給食委託会社8年
- 2つの病院とクリニックで栄養指導経験
- 1日平均4万食提供の委託給食の献立作成を担当
- 関西・関東の病院を中心とした給食提供実績
この記事を読めば、食事の重要性や一日一食ダイエットのリスクを知ることができるでしょう。
これから一日一食ダイエットを試してみようと思っている方や、すでに実践したことがある方は、ぜひ最後までご覧ください。
一日一食ダイエットは本当に効果があるのか?

1日の食事を1食にすることが、本当にダイエット効果があるかどうか気になる方もいますよね。
結論から言うと、1日3食食べていた方が一日一食にすると痩せる可能性が高いです。なぜなら1日のトータルカロリーが減りやすくなるからです。
人は一度に食べる量に限界があるため、1日1回の食事で3食分をまかなうことは難しいです。食事回数を1日1回にすることは結果的に総カロリー数が減り、痩せることに繋がります。
知っておきたい一日一食のデメリット

一日一食ダイエットは確かに体重減少の効果がありますが、デメリットも存在するため、実践するには慎重さが求められます。効果が出やすいからと言ってデメリットを知らずに取り組むのは避けるべきです。
一日一食ダイエットには▼以下のデメリットがあります。
- 痩せにくくなる
- リバウンドしやすい
- 病気のリスクがある
痩せにくくなる
まず、一日一食ダイエットには、長期的に見ると痩せにくくなるリスクがあります。その理由は、食事回数を減らすことで空腹時間が増え、筋肉量が減少し、代謝が低下してしまうからです。
空腹時、体はエネルギーを確保するために筋肉を分解し、エネルギーを作り出そうとします*1。その結果、筋肉量が減少します。筋肉量は代謝に大きな影響を与えるため、筋肉が減ると代謝も低下します*2。
代謝が低下すると、エネルギー消費が減少し、結果として痩せにくい体になってしまいます。

ダイエット目的なのに、痩せにくくなってしまっては本末転倒です。
リバウンドしやすい
一日一食ダイエットはリバウンドしやすいです。なぜなら食事回数を減らすと空腹感が強くなりやすいからです。ストレスもたまり、食べ物への欲求が強まるため、過食しやすくリバウンドに繋がりやすくなります。
また、一日一食ダイエットを続けていると、代謝が落ちる可能性が高いです。代謝が落ちた状態でダイエットを辞めると、体はエネルギーを効率よく蓄えやすくなり、結果として脂肪が増えやすくなります。
そのため一日一食は、頑張って減量してもリバウンドしやすく、おすすめしないダイエット方法です。



一時的に痩せても、ダイエットを辞めた後にすぐリバウンドしてしまうと、努力が水の泡になります。
病気のリスクがある
一日一食ダイエットには、病気の発症リスクが高まる可能性があるため、注意が必要です。特に朝食を抜くことが、肥満や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病を引き起こす要因になることが指摘されています*3。
さらに、朝食を摂らないことで空腹によるストレスが増し、血圧が上昇することがあり、脳出血のリスクが高まるとも報告されています*4。
朝食をほとんど取らない人は、毎朝食べる人と比べて脳出血を起こすリスクが36%高まる、とする大規模調査結果を国立がん研究センターと大阪大学の研究グループがまとめた。朝食を抜くことによる血圧上昇が関係しているとみられる、という。
女性の場合、朝食を欠食すると月経周期に異常が生じることが多く、生殖機能に対する悪影響も示唆されています*5。
朝食の欠食群に月経周期の異常が有意に多く、また月経痛の程度も有意に強いという結果が得られた。
一日一食ダイエットでは、食事の時間を確保するために夕食に1食を摂ることが一般的です。その結果、朝食と昼食を抜くことになり、生活習慣病の発症リスクが高まることになります。
つまり一日一食ダイエットは、短期的には痩せることに繋がりますが、長期的に見ると太りやすくなり病気のリスクも上がります。



管理栄養士としては一日一食ダイエットは、決しておすすめできません。
一日一食ダイエットをするときの注意点


一日一食ダイエットはおすすめできませんが、それでも実践をするときは、以下の内容に気を付けてください。
- 水分を積極的にとる
- よく噛んで野菜から食べる
- バランスの良い食事にする
- 長期的にはやらない
水分を積極的にとる
食事回数を減らす場合は、いつも以上に積極的に水分を摂取することを意識しましょう。
普段は気づきにくいですが、人間は飲み物だけでなく、食べ物からも多くの水分を摂取しています。食事回数を減らすと、食事からの水分が減るため、結果的に水分不足になりやすくなります。
そのため、一日一食ダイエットをする場合は、こまめに飲み物を摂るよう意識しましょう。
よく噛んで野菜から食べる
一日一食ダイエットをする際は、よく嚙んで野菜から食べることをおすすめします。
食事を一日一食にすると、空腹状態が長く続くため、食後の血糖値が上がりやすくなります*6。血糖値の上昇幅が大きくなると血管を傷つけやすくなるので*7、血糖値が上がりにくい食べ方を意識することが重要です。
血糖値が上がりにくい食べ方は、食べる順番を意識し、よく噛んで食べることです*8・9。食べる順番は「野菜→たんぱく質→炭水化物」の順です。



一日一食ダイエットの負担を少しでも軽減するためにも、血糖値が上がりにくい食べ方を意識しましょう。
詳しくは以下の記事でも解説しています。
野菜から食べる効果
バランスの良い食事にする
一日一食だから「好きなものを食べてもいい」と思ってしまう方もいるかもしれません。でも、それは逆です。
一回の食事でしっかり栄養を補うことがとても大切になるからです。
バランスの良い食事とは、「主食・主菜・副菜」がそろった食事のこと。この3つを意識して、体に必要な栄養をしっかり摂るよう心がけましょう。
長期的にはやらない
一日一食ダイエットを実践する際は、短期間にとどめるようにしましょう。長期間続けることは体に負担がかかる可能性が高いためです。
具体的な期間については、明確に「○日までが安全」という決まりがあるわけではないですが、基本的には数日〜1〜2週間程度にとどめておいた方が良いでしょう。
栄養やエネルギーが不足すると、疲れやすくなったり、筋肉量が減少しやすくなります。さらに、体調を崩したり病気のリスクが高まるおそれもあるため、無理のない範囲で取り組むことが大切です。



少しでも不調を感じたら、すぐに中止しましょう。
一日一食よりも簡単なダイエット方法


一日一食ダイエットは、身体的にも精神的にも大きな負担がかかるダイエット方法です。もしこれが続けられるほどの意志があるなら、もっと健康的で、続けやすく、リバウンドしにくい方法を取り組んでみた方が良いのではないでしょうか。
以下は、管理栄養士としておすすめする、ダイエットに繋がる食事方法です。
- まずは間食を止める
- よく噛んで食べる
- 野菜から食べる
- 野菜量を増やす
もし間食が多い方なら、まず間食を完全にやめるだけでも、ダイエット効果を実感できるでしょう。一日一食ダイエットができる方であれば、間食をやめることは難しくないはずです。
また、よく噛んで食べることで、満腹感を感じやすくなり、食べ過ぎを防ぐことができます。
詳しくは以下の記事で解説しています。
よく噛む効果
さらに、食事の順番にも工夫を。野菜から食べるようにすると、カロリーの高いご飯やお肉を食べ過ぎることを防ぐことができ、ダイエットに繋がりやすいです。野菜は低カロリーで栄養も豊富なので、たくさん食べても太る心配はほとんどありません。
これらを少しずつ取り入れていくことで、無理なく健康的にダイエットが実現できるはずです。



不健康になる方法ではなく、健康になる方法を選び、体に優しいダイエットをしましょう。
まとめ:一日一食ダイエットはおすすめできない


この記事では、一日一食ダイエットの効果と体への影響について解説しました。
要点をまとめると▼以下の通り。
- 一日一食ダイエットは短期的には減量に繋がる
- 一日一食ダイエットは病気のリスクなどデメリットが多い
- 一日一食ダイエットをする場合は食事内容に注意する
- 不健康なダイエットよりも健康的なダイエットをしよう
一日一食ダイエットは、短期間で体重を落としやすい方法ではありますが、体への負担が大きく、リバウンドしやすい点があるため、ダイエット方法としてはおすすめできません。
また、精神的にもかなりの苦痛を伴うため、一日一食ダイエットを実践できるほどの強い意志があるのであれば、もっと健康的で続けやすい方法を選んだ方が、リバウンドを防ぎながら健康的にダイエットを続けることができます。



これをきっかけにぜひ、不健康なダイエット方法ではなく、健康的なダイエットを実践していってください。
参考文献(2025年4月15日参照)