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食べる順番は意味ない?ダイエットや血糖値への効果を管理栄養士が解説

  • 野菜から食べると痩せるって本当?
  • ダイエットに良いと聞いたけど、意味ないって噂も…
  • 結局、何を信じたらいいの?

こういったモヤモヤ、感じていませんか?

多くの人が「ベジファースト」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。食事を摂るときに「野菜から食べるのが良い」と言われていますよね。

でも、最近では「意味ない」とか「逆食べ順ダイエット」なんて話もあって、何が正しいのか分からなくなってしまっている方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では「食べる順番」が体に与える影響について、管理栄養士の私が解説します。

この記事を書いた人

管理栄養士 まこ

  • 30代の管理栄養士
  • 急性期病院3年・給食委託会社8年
  • 2つの病院とクリニックで栄養指導経験
  • 1日平均4万食提供の委託給食の献立作成を担当
  • 関西・関東の病院を中心とした給食提供実績

結論から言うと、野菜から食べることはおすすめです!

野菜から食べることはこんな方におすすめ!
  • 血糖値が気になる人
  • ご飯を食べすぎてしまう人
  • ダイエットをしたい人
  • 手軽に健康意識を高めたい人

実際に食べる順番を意識したことがある方や、これから試してみようと思っている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

目次

食べる順番は本当に意味ないの?

食べる順番が「意味ない」という声もありますが、意味はあります

管理栄養士 まこ

実際に管理栄養士の私も、食事の時に必ず野菜から食べています。

ではなぜ「意味ない」という声があるのでしょうか?

その理由は、何を目的にしているかが関係しています。食べる順番を気にする人は大きく分けて以下の2パターンに分かれると思います。

  • 血糖値が気になっている人
  • ダイエットをしたい人

「意味ない」と言っている人は、おそらくダイエット目的で食べる順番を試した方だと考えられます。実践しても思ったような成果が得られなかったため、食べる順番は意味がないと言っているのではないでしょうか。

そもそも食べる順番とは?

ここでいう「食べる順番」とは、食事を「野菜 → たんぱく質 → 炭水化物」の順番で食べることを指します。ベジファーストとも呼ばれています。

具体的にいうと、例えば唐揚げ定食であれば、以下の順番で食べます。

  • サラダ・汁物
  • 鶏のから揚げ
  • ご飯

食べる順番の具体的な食材は▼以下の通りです。

食べる順番具体的な食材
① 野菜野菜・海藻・きのこ
② たんぱく質肉・魚・卵・大豆
③ 炭水化物ご飯・パン・麺・芋

芋類は炭水化物が多く含まれているため、ご飯やパンと同様に最後に食べます。

食べる順番は血糖値に影響する

食べる順番を「野菜から」にすることで、血糖値の上昇が抑えられやすくなります。

これは、野菜に含まれている食物繊維が、糖質や脂質、コレステロールの消化吸収を遅らせる作用を持っているからです。(*1)

実際、野菜から食べることが血糖値を抑制する効果があることは、多くの研究でも確認されています。

健康な人(*2)だけでなく、糖尿病の方(*1)にもその効果が見られているので、血糖値が気になる方にとって野菜から食べることは非常に有効だと言えます。

食物繊維の血糖値を抑制する効果

食物繊維は、血糖値の上昇を抑制する効果があるため、特定保健用食品にもよく使用されています。(*3)

特定保健用食品とは、体の機能に良い影響を与える成分を含み、健康に役立つことを示す表示がされた食品のことです。

私は実際に病院の栄養指導で、血糖値の上昇を抑えるために、食物繊維の使われている特定保健用食品を利用している患者さんに出会ったことがあります。

患者さん

食事の前にこれを摂れば、血糖値が上がりにくくなるんだ

その患者さんは、上のように言っていました。

しかし、こうした特定保健用食品を利用しなくても、野菜から食べることを実践することで、血糖値抑制効果を得ることができます。

血糖値が気になる方は、まず「野菜から食べる」ことで食事改善を試みてほしいです。

ダイエットにおける食べる順番の影響

食べる順番を変えるだけで『痩せる』『ダイエットになる』という情報を見かけることがありますよね。これにはさまざまな意見があります

「ダイエットに効果がある」とされる情報もあれば、「ダイエットとの因果関係はない」との情報もあります。

食べる順番を変えることがダイエットになると言われている理由は、野菜から食べると血糖値の上昇が抑えられ、インスリンの分泌が少なくなるからです。

インスリンは血糖値が上がると膵臓から分泌され、血糖値を調整する役割を果たします(*4)。また、糖を細胞に取り込ませると同時に、余った糖を脂肪として蓄える作用もあります(*5)。
そのため、インスリンの分泌が多くなると、体に脂肪が蓄積されやすくなると言われています。

野菜を先に食べることで血糖値の上昇が抑えられれば、インスリンの分泌が少なくなり、その結果、脂肪が蓄積されにくくなります。

このことから、食べる順番を変えることは『痩せる』『ダイエットになる』と言われています。

食べる順番を変えることで確かに「太りにくくなる」でしょう。しかし、これが直接ダイエットにどれくらいの影響があるかどうかは、確かな情報は見つけられませんでした

逆食べる順番ダイエットの効果

「逆食べる順番ダイエット」という言葉もあります。これは、その名の通り、野菜から食べるのとは逆に「炭水化物→たんぱく質→野菜」の順番で食べるダイエット法です。

結論から言うと、この「逆食べる順番ダイエット」はおすすめしません。

血糖値が高くなりやすく病気のリスクや死亡リスクが上がるからです。

GI(※)と死亡リスクの解析の結果、GIが高いほど全死亡リスクは高く、GIが最も低いグループと比較して、GIが最も高いグループの全死亡リスクは14%高いことがわかりました。さらに、死因別では、GIが最も低いグループと比較して、GIが最も高いグループの死亡リスクは循環器疾患で28%、心疾患で33%、脳血管疾患で32%、呼吸器疾患で45%高く、これらの死因についてもGIが高いほど死亡リスクが高いことがわかりました。GIとがん、消化器疾患の間に関連はみられませんでした。

※食事全体に含まれる炭水化物による食後血糖値の上がりやすさを示す指標

引用:食事のGIおよびGLと死亡リスクとの関連について|がん対策研究所 予防対策プロジェクト

このように血糖値が高くなると、多くの病気のリスクがあるため、血糖値が高くなる食べ方は避けた方が良いです。

では、なぜ「逆食べる順番ダイエット」が良いという意見があるかというと、炭水化物を先に摂ることで以下の効果を狙うものでした。

血糖値が上がりやすくなる → 満腹感を感じやすい → 食べる量が減る

確かに、炭水化物を摂ることで、血糖値が上がり満腹中枢が刺激されます(*7)。しかし病気のリスクが上がってしまえば、ダイエットどころではありません。

満腹感は、血糖値の上昇以外にも「よく噛んで食べること」で感じやすくなります(*8)。そのため野菜から食べ、ゆっくりとよく噛み、健康にも良い食べ方をすることをおすすめします。

野菜から食べることのメリット5つ

野菜から食べることには多くのメリットがあります。これまでの説明と被るところもありますが、ポイントを改めてまとめます。

野菜から食べることのメリットは▼以下の通り。

  • 血糖値の上昇が緩やかになる
  • 満腹感が感じやすくなる
  • 肉やご飯の食べすぎを防止できる
  • 太りにくくなる
  • 病気のリスクが減る

血糖値の上昇が緩やかになる

食べる順番を野菜からにすることで、血糖値の上昇が緩やかになります。野菜には食物繊維が含まれています。この食物繊維が糖質などの消化吸収を遅らせるためです。

そのため、特に血糖値が気になる方にとって、野菜から食べることは血糖コントロールに繋がりおすすめです。

満腹感が感じやすくなる

食べる順番を野菜からにすることで、満腹感を感じやすくなります。野菜はよく噛んで食べる必要があるので、咀嚼が増えることで満腹中枢が刺激され、満腹感を感じることができます。

これにより、つい食べ過ぎてしまう方でも、野菜から食べることで自然と食べ過ぎを防ぐことができます。

肉やご飯の食べすぎを防止できる

食べる順番を野菜からにすることで、肉やご飯の食べすぎを防止できます。野菜から食べ、空腹感をやわらげた後に肉やご飯を食べるので、食べすぎを防げるようになるからです。

空腹のときにおいしい肉やご飯を先に食べると、満腹感を感じる前に食べすぎてしまいますよね。肉やご飯は野菜に比べてカロリーが高いため、摂りすぎると体重増加につながりやすいです。

そのため野菜から食べ、肉やご飯の食べすぎを防止することは体にとって良い食べ方です。

太りにくくなる

食べる順番を野菜からにすることで、太りにくくなります。血糖値の上昇が抑制されるので、糖を脂肪に変えるインスリンが分泌されにくくなるからです。

そのため少しでも太りたくないと感じている方は、野菜から食べることをおすすめします。

病気のリスクが減る

食べる順番を野菜からにすることで病気のリスクが減ります。急激な血糖上昇は、動脈硬化を進行させ、老化も進めるといわれています(*1)。

野菜から食べると食後高血糖を抑制できるため、血管の内壁が傷つきにくくなり、動脈硬化の予防にもなります(*9)。

食べる順番に関する管理栄養士の見解

食べる順番について、管理栄養士の私の見解を示しておきます。

管理栄養士 まこ

結論から言うと、食べる順番を野菜からにすることはおすすめです。実際に私も食事の際は、野菜から食べるようにしています。

食べる順番の大切さは、勉強でも学んできましたが、栄養指導で実際の患者さんからも学ばせてもらいました。

栄養指導で学んだ野菜から食べることの意義

栄養指導で、野菜から食べることが本当に血糖コントロールに影響することを学んだことがあります。

私がクリニックで栄養指導をしていたとき、糖尿病の60代の男性患者さんに携わりました。初回の指導時は、血糖値はかなり高めでした。

しかし2回目に指導に入った際、前回と比べて数値が下がっていました。数値が下がった要因について聞いたところ以下のように言っていました。

患者さん

徹底的にやってみようと思って、野菜から食べることだけやってみた

そして3回目の指導の際、数値はまた悪くなっていました。話を聞くと

患者さん

最近は(野菜から食べるのは)続けてない

薬や他の影響もあるかもしれませんが、食べる順番の取り組みが影響している可能性も高いと感じられました。

この件から「野菜から食べることの効果は本当なんだ」と実感し、正直驚きました。それ以来、私自身も食事はまず野菜から食べることを実践しています。

野菜から食べることは簡単に取り組める上に効果があり、健康な人にとってもぜひおすすめしたい食事法です。

食べる順番がダイエットになるか否か

食べる順番がダイエットになるかどうかについては、私自身は、“間接的に”ダイエット効果があると感じています。

野菜を先に食べることで、▼以下の効果が期待できるからです。

  • 野菜をしっかり食べる習慣がつく
  • メイン料理やご飯の量が自然と減る
  • 噛む回数が増え満腹感を得やすくなる

もともと野菜をあまり食べていなかった人にとっては、「最初に野菜を食べよう」と意識することで、自然と野菜の摂取量が増えるでしょう。

もちろん、食べる量がまったく同じなら、順番を変えても摂取カロリーは変わりません。でも、順番を変えたことで高カロリーなものの摂取量が減れば、結果的に摂取カロリーは抑えられます。

また、野菜はよく噛まないと飲み込めないので、噛む回数が増える=満腹感が得やすくなります。これも食べ過ぎ防止に繋がります。

食べる順番を変えることは、直接的にはダイエットになるかどうかは不明な点も多いですが、間接的にダイエットに繋がる可能性が高いです。

食べる順番は意味ないと言われる理由は?

中には「食べる順番を変えてみたけど、ダイエット効果を感じなかった」という声もあります。そういった場合、以下のようなことが原因になっているかもしれません。

  • 野菜の量がそもそも少なすぎる
  • しっかり噛んでいない
  • 早食いになっている

こうした点に注意して取り組めば、食べる順番を意識するだけでも、ダイエットに繋がる可能性は十分にあります。

食べる順番で気を付けたいこと

食べる順番は血糖コントロールやダイエットの効果が期待できることが分かりましたが、ここで注意点をまとめます。

食べる順番を実践する時は、次の2つに注意しましょう。

よく噛んで食べる

野菜を先に食べることで得られるメリットは、咀嚼の影響が大きいです(*10)。よく噛まずに早食いをしてしまうと、野菜から食べても効果は得られにくい可能性があります。

ゆっくり時間をかけてよく嚙むことを意識しましょう。

芋類などは最後に食べる

芋類を、野菜と思って先に食べてしまう人もいるかもしれません。しかし、芋類はご飯などと同じく糖質が多い食材です。そのため、芋類を食べるのは最後にしましょう。

芋類の他にも糖質の高い野菜は他にもあります。具体的な食材は▼以下の通りです。

  • さつまいも
  • じゃがいも
  • 里芋
  • ながいも
  • かぼちゃ
  • とうもろこし
  • れんこん

特にポテトサラダなどは「サラダ」という名前から、先に食べてしまいそうになりますよね。注意しましょう。

管理栄養士 まこ

食べる順番をもっと細かく解説すると「野菜→たんぱく質→芋→ご飯」で食べることがおすすめです。

血糖値のために摂りたい水溶性食物繊維

野菜から食べることで、血糖値の上昇を緩やかにする効果があることがわかりました。健康を意識するなら、さらに効果が期待しやすい野菜を選びたいと思う方も多いのではないでしょうか。

血糖値の上昇を抑える効果は、野菜に含まれる水溶性食物繊維によるものです。そこで、ここでは水溶性食物繊維が豊富な野菜(※)についてご紹介します。

  • オクラ
  • 春菊
  • ごぼう
  • 大根
  • 菜の花
  • ニラ
  • 人参
  • ピーマン
  • ブロッコリー
  • ほうれん草
  • 水菜
  • モロヘイヤ

食品成分表八訂より、100g当たり0.5g以上の水溶性食物繊維が含まれているものをピックアップしています。

中でも粘性のあるオクラなどが、特に血糖値の上昇を抑制する効果があり、おすすめです(*11)。

まとめ:食べる順番は野菜からがおすすめ!

この記事では、「食べる順番」が体に与える影響について解説しました。

要点をまとめると以下の通り。

  • 野菜から食べることは血糖値抑制に効果がある
  • 食べる順番は間接的に痩せる可能性がある
  • 野菜から食べることは健康へのメリットが多い
  • よく噛んで食べることが大事

食べる順番は、簡単で誰でもすぐにでき、体にとってもいい影響がたくさんあります。

実際に、管理栄養士の私も食事の際は野菜から食べることを意識しています。

管理栄養士 まこ

ぜひ今日から食べる順番を意識し、健康に繋げてください。

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この記事を書いた人

✔ 急性期病院 3年勤務
✔ 給食委託会社 8年勤務

巷で広がる食に関する情報を、管理栄養士の視点から解説します。

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