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【管理栄養士が解説】三大栄養素とは?種類や役割を分かりやすく解説

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  • 三大栄養素って具体的に何があるの?
  • それぞれの役割って?
  • 毎日の食事にどう取り入れればいいの?

こういった疑問を抱えていませんか?

三大栄養素とは、私たちの体を動かすためのエネルギー源となる「炭水化物(糖質)」「たんぱく質」「脂質」の3つの栄養素のことをいいます。

どれも生きていくうえで欠かせない重要な存在ですが、ただ摂ればよいというものではありません。バランスよく摂取することが、健康維持や病気の予防に直結します

実は、三大栄養素のバランスが崩れることで、気づかないうちに生活習慣病や体調不良のリスクを高めてしまっている人も少なくありません。

「炭水化物を抜けば痩せる」「脂質はできるだけ控えればいい」といった誤解が、逆に健康を損ねていることもあるのです。

そこでこの記事では、管理栄養士の視点から、三大栄養素の基礎、日々の食生活への取り入れ方まで分かりやすく解説します。

この記事を書いた人

管理栄養士 まこ

  • 30代の管理栄養士
  • 急性期病院3年・給食委託会社8年
  • 2つの病院とクリニックで栄養指導経験
  • 1日平均4万食提供の委託給食の献立作成を担当
  • 関西・関東の病院を中心とした給食提供実績

この記事を読めば、本当に正しい健康な食生活を実践しやすくなります。

「自分や家族の食生活を健康にしたい」と考えている人はぜひ最後まで読んでください。

目次

三大栄養素とは?エネルギーになる栄養素

三大栄養素とは、私たちの身体を動かすための主要なエネルギー源となる、以下の3つの栄養素のことを指します。

  • 炭水化物(糖質)
  • たんぱく質
  • 脂質

これらは「エネルギー産生栄養素」とも呼ばれ、体内でエネルギーを生み出すことができる栄養素です。

それぞれの栄養素が持つエネルギー量は次の通りです。

  • 炭水化物(糖質)・・・4kcal/g
  • たんぱく質・・・4kcal/g
  • 脂質・・・9kcal/g

脂質は特にエネルギーが高く、少量でも多くのカロリーを生み出せるのが特徴です。

なお、三大栄養素に加えて、「ビタミン」と「ミネラル」を含めたものを五大栄養素と呼びます。

五大栄養素の内訳は以下の通りです。

  • 炭水化物(糖質)
  • たんぱく質
  • 脂質
  • ビタミン
  • ミネラル

ビタミンとミネラルはエネルギーそのものにはなりませんが、代謝を助けたり、身体の機能や構造を支える重要な役割を担っています。

三大栄養素それぞれの役割と特徴

三大栄養素は、どれもエネルギー源となる栄養素ですが、それぞれ体にとって異なる重要な役割を持っています。

炭水化物とは?効率的なエネルギー源

炭水化物は、私たちの体にとって最も効率的なエネルギー源です。

体内に取り込まれると、炭水化物は消化されて最小単位のブドウ糖に分解されます。ブドウ糖は細胞の主要なエネルギー源として利用され、特に以下のような部位はブドウ糖以外のエネルギーを使うことができません

  • 神経組織
  • 赤血球
  • 腎臓の尿細管
  • 精巣
  • 酸素不足の骨格筋

このため、炭水化物は体のエネルギー供給において非常に重要な役割を果たしています。

炭水化物は大きく分けて「糖質」と「食物繊維」から成り立っています。

炭水化物 = 糖質 + 食物繊維

糖質:体内で消化・吸収され、エネルギー源となる

食物繊維:消化されにくく、エネルギー源にはなりにくい

食物繊維はほとんど消化されませんが、以下のような健康効果があります。

  • 腸内環境を整える
  • 血糖値の上昇を緩やかにする

そのため、同じ「炭水化物」でも、糖質と食物繊維の割合によって体への影響が異なります

糖質が多い食品はエネルギー源として利用されやすく食物繊維が豊富な食品は健康維持や生活習慣病の予防に役立ちます。

炭水化物が多い食品例

ご飯・パン・麺類・いも

もっと詳しくはこちら炭水化物とは】【食物繊維とは

たんぱく質とは?体の構成成分

たんぱく質は、エネルギー源にもなりますが、主な役割は体の構成と機能のサポートにあります。

筋肉や臓器をはじめ、酵素やホルモン、免疫抗体など、体のさまざまな重要な成分を作り出しています。

体内に入ったたんぱく質は、アミノ酸に分解されます。アミノ酸は体の組織修復や新陳代謝に使われ、健康な体を維持するうえで欠かせません。

このアミノ酸の種類やバランスによって、たんぱく質の「」が決まります。

質の良いたんぱく質は体に効率よく利用されやすいです。

質の良いたんぱく質の具体例

肉・魚・卵・大豆製品・牛乳・乳製品

これらの食品は良質なたんぱく質を豊富に含んでいるため、日々の食事ではメインのおかず(牛乳・乳製品は除く)として取り入れることが推奨されています。

具体的なアミノ酸など、もっと詳しくはこちらたんぱく質とは?

脂質とは?エネルギーの貯蔵

脂質は、体内でエネルギーを効率よく貯蔵する役割のほか、細胞膜やホルモンの材料としても欠かせない栄養素です。

炭水化物やたんぱく質が1gあたり約4kcalのエネルギーを持つのに対し、脂質は1gあたり約9kcalと、約2倍以上のエネルギーを供給します。そのため、体は効率よくエネルギーを蓄えるために脂質を優先的に貯蔵します。

しかし、脂質を過剰に摂取するとエネルギー過多となり、肥満や生活習慣病のリスクが高まるため注意が必要です。

脂質は、構成する脂肪酸の種類によって、体に良い油とそうでない油があります。

積極的に摂りたい油控えたい油
魚の油、ごま油、アマニ油などバター、ラード、マーガリン、ショートニングなど

健康的な脂質の摂取を心がけることが、生活習慣病予防にもつながります。

詳しい脂肪酸の種類など、もっと詳しくはこちら脂質とは?

三大栄養素の理想的なバランス

三大栄養素はすべてエネルギー源になりますが、この3つの栄養素、バランスがとても重要なのです。

なぜなら、この3つの栄養素のバランスは、生活習慣病の発症予防やその進行防止に深く関わっているからです。

この3つの栄養素のバランスは、エネルギー産生栄養素バランス(PFCバランス)と言います。

PFCバランスは年齢や活動量によって多少異なりますが、日本成人に対して以下の目標値が示されています。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人の目標値が次のように設定されています。

エネルギー産生栄養素バランス(PFC比)
  • たんぱく質(P):13~20%
  • 脂質(F):20~30%
  • 炭水化物(C):50~65%

このバランスを意識することで、栄養の偏りを防ぎ、生活習慣病の予防や健康の維持に役立てることができます。

具体的な例(1日の総エネルギーが2000kcalの場合)

  • たんぱく質:260〜400kcal(約65〜100g)
  • 脂質:400〜600kcal(約44〜67g)
  • 炭水化物:1000〜1300kcal(約250〜325g)

単に、「糖質や脂質を制限する」ことが健康という風潮は間違いです。

管理栄養士 こま

炭水化物をしっかり摂ることで、その他の栄養素が効率的に利用されやすくなります。

三大栄養素をうまく摂るコツ

三大栄養素を理想的なバランスで摂るにはどうしたらいいのでしょうか?

「栄養素の割合を細かく考えながら食事をするのは難しい…」と感じるかもしれませんが、心配はいりません。

実は、日本食はこのPFCバランスが理想に近い食事なのです。

日本食の基本である「主食・主菜・副菜」をバランスよく組み合わせた食事を意識すれば、自然と三大栄養素をバランス良く摂ることができます。

主食はご飯から摂る

主食にはご飯、パン、麺などがありますが、特にご飯を主食にすることを意識しましょう。日本食がバランスの良い食事とされる理由の一つに、主食がご飯であることが挙げられます。

一方、パンや麺は脂質や塩分が高くなりやすいため、PFCバランスが崩れやすい傾向があります。

そのため、1日に2食以上はご飯を主食にした食事を心がけるのがおすすめです。適量は、ご飯1〜2杯程度が目安です。

管理栄養士 こま

多すぎても少なすぎてもバランスが崩れてしまうため、適量を意識して摂ることが大切です。

必要カロリーに対するご飯量など、もっと詳しくはこちら主食とは

主菜は良質なたんぱく質を適量

主菜は、肉類・魚類・卵類・大豆製品良質なたんぱく質食材を使った料理から摂りましょう。

主菜の具体的な量やポイントは以下の通り。

  • 肉魚の1回の適量は60~100g程度
  • 肉は赤身肉を選ぶ
  • 魚は週に4回以上を目指す
  • 卵は1日1~2個までを目安に
  • 大豆製品は1日50~100gを積極的に
管理栄養士 こま

質と量を意識して、さまざまな食材を取り入れるのがポイントです。

調理方法のコツなど、もっと詳しくはこちら主菜とは

副菜は特に不足しないよう注意

副菜には、野菜・いも類・きのこ・海藻などを使った料理が含まれます。

これらは栄養バランスを整えるうえで非常に大切ですが、日常の食事では不足しやすい部分でもあります。だからこそ、意識して積極的に摂ることが大切です。

  • 副菜の具体的な量やポイントは以下の通り。
  • 野菜は1日350g(緑黄色野菜120g)
  • いもは1日50g程度
  • 海藻は1日3g程度
  • きのこは1日20~30g程度

十分な副菜を摂るには、1日5皿程度の副菜が必要とされています。

管理栄養士 こま

できるだけ多くの食材を使用し、しっかりと量を確保しましょう。

副菜の上手な摂り方など、もっと詳しくはこちら副菜とは

バランスを保つための+αポイント
  • 炭水化物は、食物繊維が豊富な全粒穀物も取り入れる
  • たんぱく質は、肉や魚、大豆製品、乳製品をバランスよく摂取する
  • 脂質は、魚の油や植物油など良質な脂質を中心にし、バターや加工油脂は控えめにする

三大栄養素のよくある質問Q&A

栄養について調べていると、さまざまな情報があふれていて混乱してしまうこともありますよね。

管理栄養士 こま

ここでは、三大栄養素に関するよくある疑問に、管理栄養士の視点からお答えします。

炭水化物は太るから抜いた方が良い?

いいえ、炭水化物を極端に抜くのはおすすめできません。

炭水化物(糖質)は、体の主なエネルギー源です。特に脳や赤血球はブドウ糖をエネルギーにしているため、不足すると集中力が低下したり、疲れやすくなったりします。

太る原因は「炭水化物そのもの」ではなく、「摂りすぎ」と「消費エネルギーとのバランスの崩れ」です。適量を守って摂ることが大切です。

脂質は全部カットした方が健康的?

いいえ、脂質も体に必要な栄養素です。

脂質は、細胞膜やホルモンの材料として必要不可欠な栄養素です。また、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収にも関与しています。

重要なのは「質の良い脂質を選ぶこと」。魚や植物油に含まれる不飽和脂肪酸は、血管や心臓の健康維持にも役立ちます。一方で、飽和脂肪酸(バター・ラードなど)やトランス脂肪酸は摂りすぎないよう注意しましょう。

プロテインを飲めばたんぱく質は十分?

いいえ、プロテインは補助的な手段としての利用がおすすめです。

食事から摂るたんぱく質には、ビタミンやミネラル、食物繊維などの他の栄養素も含まれており、バランスの良い食事が基本です。

成長期や運動をしている方など、たんぱく質の必要量が増える方は、「食事+必要に応じてプロテイン」という考え方がベストです。

管理栄養士 こま

誤った情報に惑わされないように注意しましょう。

まとめ:三大栄養素を知って健康的な食生活を

この記事では、三大栄養素の基礎知識や摂り方について解説しました。

要点をまとめると以下の通り。

  • 三大栄養素は「炭水化物」「たんぱく質」「脂質」の3つ
  • 三大栄養素はすべてエネルギー源になる栄養素
  • エネルギー量は、炭水化物・たんぱく質が4kcal/g、脂質が9kcal/g
  • 三大栄養素の理想的なバランスを「PFCバランス」と呼ぶ
  • 日本人の食事摂取基準(2025年版)におけるPFCバランスの目標値:
    ‐たんぱく質(P):13~20%
    ‐脂質(F):20~30%
    ‐炭水化物(C):50~65%
  • 日本食は、このPFCバランスに近い食事スタイルである

三大栄養素は、私たちの体を支える基礎となる重要な栄養素です。

極端に炭水化物を減らしたり、脂質をすべてカットしたりするのは、一見健康に良さそうで、実は体に負担をかけてしまう可能性もあります。

それぞれの栄養素の役割や適切な量を知ることで、毎日の食事をより健康的に整えることができます。

管理栄養士 こま

ぜひ今日から、バランスの取れた食生活を意識してみましょう。

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参考文献(2025年6月25日参照)

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この記事を書いた人

✔ 急性期病院 3年勤務
✔ 給食委託会社 8年勤務

巷で広がる食に関する情報を、管理栄養士の視点から解説します。

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